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【報告】国際学術会議 参加記 【古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター】

2024.05.09

 2024年4月19日~21日に、中国・敦煌で国際会議が開催されました。

記者は、縁あってこの会議に参加することができました。
ここでは、記者の感じたところを記したいと思います。今回の会議は、敦煌莫高窟にほど近い敦煌研究院とIDPを主宰する大英図書館の共催で、 19〜20日が「流失海外敦煌文物国际学术研讨会(International Symposium on Overseas Dunhuang Cultural Relice)」、21日が「国际敦煌项目工作会议(International Dunhuang Programme (IDP) Workshop)」でした。

このうち、前半の国際シンポジウムでは、敦煌学の最新成果研究を中心に、①敦煌文書の写本研究、②敦煌文書のデジタル化と管理・保存に関する研究、③シルクロード沿いの敦煌や他遺跡からの出土品の保存・コレクションについての研究の3セクションについて、イギリス・中国・ハンガリー・オーストリア・アメリカ・フランス・日本の7か国の代表者による発表が行われました。

龍谷大学からは、「①敦煌文書の写本研究」セクションで、岩尾一史准教授により、Two Old Tibetan Documents Concerning the Chinese Uprising under the Tibetan-ruled Dunhuangと題して発表が行われました。

後半のワークショップでは、世界各国のIDPパートナーであるロンドン・北京・ベルリン・パリ・日本・敦煌の代表者が、最新の研究動向を含めた近況報告が行われました。

日本代表であるDARCからは、三谷真澄センター長、渡辺靖彦講師、髙見が、Current Activities of Ryukoku University Digital Archives Research Center (DARC) as IDP Japanと題して報告を行いました。2018年のIDPパートナーワークショップ以来の活動概要や最新の研究成果について報告しました。

三谷真澄センター長
渡辺靖彦講師
髙見美友

この3日間を通して、世界各国のデジタルヒューマニティーズの最新状況を知ることができたほか、多くの研究者との交流を通じて、技術や手法論の検討をするうえでの新たな知見を得ることができました。特に、慶応大学の永崎研宣先生には、記者の発表に関心を持っていただき、不躾な質問や研究上の悩みなどにも丁寧に答えていただき、これからの研究の指針になりました。
特に最終日に敦煌莫高窟のいくつかの壁画を実見することができたことで、まだデジタルアーカイブでは得ることができない微細な変化や、画角の調整によって起きる印象の違いなど、今後研究をしていく上での考えを改めるきっかけになりました。

国際学会への参加は初めてのことでした。ここ数年、コロナ禍では特に、対面での学会開催や交流会の開催は見送られることが多く、学会という場そのものへの参加経験が乏しい中で、この国際学会に参加できる機会に恵まれたことは本当に幸運だったと思います。

最初は不安があったものの、参加しているうちに学生の立場よりも、「研究者として見られている」と強く感じ、現場で学び交流することの良さに衝撃を受けました。ただ、英語や中国語が不慣れなこともあり、交流するうえで積極性を発揮できず、勉強不足を強く実感しました。次の機会までには、研究を進めるだけでなく、もう少し自分から交流していけるようにしようと思いました。

敦煌での数日の生活は、慌ただしくも充実したものでした。大変だったことは、日照時間が長く、夕方でも非常に明るかったことです。空が明るいのは写真を撮るにはありがたいですが、生活をするとなると慣れるまで違和感があり、寝るまでに時間がかかりました。

不慣れな環境で戸惑う中、「質問に行くなら付いていくよ」と言って助けていただきました先生方、拙い英語でも交流して下さった研究者の皆様と関係者様方、関わってくださったすべての人に、深く感謝申し上げます。

報告者:髙見 美友
(DARCアシスタントスタッフ)


敦煌研究院HP
https://www.dha.ac.cn/info/1019/5507.htm
https://www.dha.ac.cn/info/1019/5509.htm

会議日程(抜粋)