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モンゴル国「勅賜興元閣碑」石刻復元への協力【古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター】

2022.12.12

                  除幕式テープカット (2022年11月25日)

2022年11月25日、モンゴル・カラコルム博物館の正面玄関前に、「勅賜興元閣碑」*の石刻レプリカが完成し、除幕式がおこなわれた。

カラコルム**は1220 年にチンギスハーンが築いた兵站基地が起源とされ、1235年、モンゴル帝国初代皇帝チンギスハーンの命令により、第2代皇帝オゴタイハーンが作ったモンゴル帝国初の都である。「勅賜興元閣碑」は、旧都カラコルムに建てられた仏教寺院「興元閣」の再建を記念して刻されたものであり、現在は台座である「亀趺」が残るのみであるが、今でもカラコルム遺跡のシンボルと位置付けられている。

2020年、カラコルム建設800周年を迎え、モンゴル国では、博物館所蔵資料の保存修復事業を計画された。特に「勅賜興元閣碑」のレプリカ作製が最重要の課題であったが、資金調達が困難な状況にあり、今回、村岡倫教授(龍谷大学文学部)らによる20年以上の発掘調査や研究交流を受け、このほど、龍谷大学と古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター(DARC)が支援をおこなったことで実現したものである。

                  除幕式後の記念撮影 (2022年11月25日)

当日は、DARCの三谷真澄センター長が、地域の子ども2名を含むテープカットに立ち会い、入澤崇学長の祝辞(代読)の後、祝辞を述べた。その後、カラコルム博物館でワークショップも開催された。ここには、DARC運営委員をつとめる中田裕子准教授(龍谷大学農学部)もオンラインで参加し、碑文レプリカを通じたDARCとの連携の可能性について報告をおこなった。 カラコルム博物館は、文化無償資金協力によって2010年に開館した博物館で、そのシンボルとなる石碑レプリカに龍谷大学の名が刻まれ、長くモンゴル国の人々だけでなく、世界遺産***を訪ねる観光客の目に触れることになる。

                三谷真澄センター長祝辞 (2022年11月25日)

ご挨拶(祝辞)全文

このたびは、カラコルムの仏教寺院「興元閣」の再建を記念して建てられた「カラコルム第一碑文」の石刻レプリカが完成し、お披露目の行事にお招きいただき、まことにありがとうございました。

龍谷大学は、1639年の創立以来、仏教の教育と研究にいそしんで参りました。図書館には、中央アジア出土の仏教関連資料など、膨大な古典籍・文化財が蔵されています。

「古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター」は、2001年に「古典籍デジタルアーカイブ研究センター」として開設され、2019年度より、現名称となりました。研究テーマは「文化財・学術資料のデジタルアーカイブと多面的公開手法の基盤形成」で、本学の建学の精神に基づいて収集した古典籍・文化財のデジタルアーカイブ資産を有効活用し、超臨場感技術等の最先端の手法を用いて、学術資料の多面的公開のためのデジタルアーカイブの形成をめざしています。また、文理連携型の学際研究と国際敦煌プロジェクトとの国際連携の実績を基に最新の研究成果や科学分析等を通じて時代考証などの考察を加え、文化財・学術資料の保存・修復・継承を支援し、次世代デジタルミュージアムの構築をめざすことを目的としています。

本センターでは、所蔵文化財を基軸とした国際的ネットワークを活用した国際連携を推進しており、今回のプロジェクトへの参加は、その活動の一環として重要視しているものであります。

今回のレプリカ完成を契機として、効果的な展観手法の構築、興元閣自体の復元やエルデニゾー寺院のデジタル復元などへの展開もありうることと思います。

今後、さらなる研究連携、さらなる多面的公開手法の共有など、相互の文化財を媒介とした研究協力・国際連携を推進していきたいと考えております。どうか、よろしくお願いいたします。

以上、本日の除幕式、研究ワークショップの開催に当たりまして、一言、ご挨拶申し上げました。ありがとうございました。

2022年11月25日

龍谷大学古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター長
三谷真澄

*モンゴルでは「カラコルム第一碑文」と呼称している。
**現在は、「ハラホリン(Kharkhorin)」と呼ばれている。
***カラコルム遺跡は、「オルホン渓谷の文化的景観」の主要なモニュメントとして、2004年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。大谷探検隊第2次隊の、野村栄三郎・橘瑞超が、エルデニツォ(カラコルム)を訪れており、こちらもモンゴル初の仏教寺院エルデニ・ゾー寺院として、登録されている。

【追記】除幕式とワークショップの様子は、カラコルム博物館のFacebookでもご覧頂くことができます。
URL: https://www.facebook.com/Kharakhorummuseum/

                 三谷真澄センター長発表 (2022年11月24日)

【参照】Research Center for World Buddhist Cultures(RCWBC)
URL: https://rcwbc.ryukoku.ac.jp/news/news-284/

2022年11月24日に開催された「日本モンゴル文化遺産フォーラム」については、在モンゴル日本国大使館のサイトでご覧頂くことができます。
URL: https://www.mn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/soyolynuv_jp.html