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【報告】中国新疆ウイグル自治区・庫車市内で開催された国際学術会議に参加【古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター】

2024.11.14

2024年10月26日(土)~29日(火)、中国新疆ウイグル自治区・庫車市内で、新疆維吾爾自治区文物局等主催、新疆維吾爾自治区克孜爾石窟研究所等共催による国際学術会議「絲路文明交流互鑒与亀茲歴史文化研究学術研討会 / 第八届亀茲学年会 / 亀茲片区旅遊高質量発展推進会」が開催された。この国際学術会議は、世界13カ国から約130人が参加した非常に規模の大きいものであり、古典籍・文化財デジタルアーカイブ研究センター(DARC)から、三谷センター長と荻原博士研究員が参加し、それぞれ基調講演及び口頭発表を行った。

国際学術会議の初日、開幕式に続く基調講演の一つとして、“Introduction of China Buddhist Manuscripts and Digital Humanities Unearthed in the Xiyu”と題して、三谷センター長からDARCがかかわってきたデジタルアーカイブの概要やデジタルヒューマニティーズの成果の実例が紹介された。

                三谷センター長(於庫車市人民政府一楼6号会議室)

荻原博士研究員は、会場を移した分科会にて“Agama Texts Transmitted to Qiuci”と題する口頭発表を行い、クチャのキジル石窟で発見されたクチャ語(所謂トカラ語B)断片を利用して、クチャに伝えられたと考えられる阿含経典の枠組みを説明した。

                   荻原博士研究員(於庫車飯店北京庁)

また、国際学術会議の二日目には、荻原博士研究員が、新疆維吾爾自治区克孜爾石窟研究所台来提・烏布力副所長とパネル司会者を担当し、司会進行を務めた。二日間に渉って行われた学術発表では、歴史学や仏教美術史などの様々な分野にわたるテーマの発表が行われた。特に、キジル石窟第38窟のデジタル復元や亀茲楽を主題とした発表も複数行われ、中国における当該領域に対する関心の高さを伺わせた。

             荻原博士研究員(左)と台来提・烏布力副所長(於庫車飯店北京庁)

学術発表終了後の28日(月)・29日(火)に行われたエクスカーションでは、かつて大谷探検隊が訪れたスバシ遺跡・クムトラ石窟・キジル石窟に加え、亀茲魏晋遺址博物館等の博物館も訪問した。四日間に及んだ今回の学会を通じて、中国におけるクチャ研究の高まりと、現地クチャでの学術成果利用の現状を実見することができただけでなく、世界各国から参加していた研究者たちとも交流を図り、大変有意義な機会となった。

   左から、勝木言一郎氏(東京国立博物館)・三谷センター長・趙莉氏(克孜爾石窟研究所)・荻原博士研究員

*アイキャッチ画像は、本学会主催者より参加者に提供されたものを利用している。